お客様との接点

冬に向かいヨーロッパではコロナ感染による都市封鎖が再び行われています。北海道の緯度はヨーロッパに近く、コロナ感染の陽性反応者数が増えて心配です。ただ、重篤者数や死亡者数は今年4月の時点よりも少なく、陽性反応者数の増加だけで不安がらないよう、普段からのマスク着用、アルコール消毒、などのコロナ対策を引き締め、気持ちが萎縮しないように心がけたいものです。

悠悠北海道では、東京都のGotoトラベル参加が決まった先月10月から、意欲的に全道営業に歩きだしています。1件1件の現場の生の声をお聞きしながら、インバウンド復活の話題をさせて頂いています。「一言で、慌てるべからず!」なのですが、この数年の節目(変化)を見極めつつ、しっかり準備し、行動し、情報交換することが大切だとお伝えしています。インバウンド客は、形を変えますが今以上の市場規模で戻ります。それだけではなく、
1)インバウンドを呼び込む背景 と、
2)今年6月に施行となった新卸売市場法
の関係に注目しています。

  1. インバウンドビジネスは、もちろん日本だけのものではなく、全世界の潮流です。
    ただ、先進諸国の中で日本のインバウンド率は極めて弱く(少なく)、これに関する課題を整理しつつ、国内観光では横ばいから微減を繰り返していた市場に、インバウンド市場を加えてきました。

    ご存知のように、インバウンド市場の約半数は国境が繋がり合うヨーロッパ市場です。続いて、ここ数年で経済力も飛躍的に伸びたアジア市場、そして北米市場。この3市場で世界の9割を占めています。この10年間で日本のインバウンド市場は約4倍になりましたが、この多くはアジア市場からです。まだまだ、ヨーロッパ、北米市場は少なく、これから先、ヨーロッパ、北米市場対策を現状に重ねるべきという方向に進みます。

    そのひとつのメニューが、アドベンチャーツーリズムです。
    「自然」「異文化体験」「アクティビティ」を行うものです。このターゲットは、個人客、小グループ客が大半であり、観光地で提供する各種の「日帰り体験ツアー」を提供することが地域観光売上のベースになります。

    いかに滞在時間を長くし、高額な消費に誘導するかは、地域のパワーです。 コロナ感染症のパンデミックによりDX(デジタルトランスフォーメーション)が確実に加速しています。消費者は日々ITサービスを活用しているため、サービスの本質は不変であっても、サービスの手段(選択、予約、決済、登録・・)が大きく変化しています。一言で言えば、ネットで選択され、予約を受け、決済してもらう独自の流れを作ることです。
    広域のPR活動によって地域は有名、でも、その仕掛けをしている中心事業者の総取りはよくある話です。長期戦略を考え、実際に消費者を呼び込み口コミを増やす対策が必要です。面倒であっても避けては通れません。地域で協力しあって消費を増やす動きが益々重要になります。例え、地域住民数が減ろうとも、高齢化になろうとも、交流人口を増やすための意欲と目標は別の話です。よそ者と組むだけでも大きく変わります。

  2. また、地域の価値を上げる方法です。
    北海道は特に、1次産業が強い食料自給率No.1の土地ですから、特産品の大量出荷から、優良品を選別してニーズのある人に届ける価値アップ戦略とこれに伴う流通の変化が必要です。
    今年、6月21日に施行された「新卸売市場法」、これまでの仲卸制を不要とし、新たな動きが可能になる点に注目しています。これまでにも「産直」という言葉がありますが、これが法的にもしっかりできるようになります。これまでの産直は、どちらかというと、中間マージンが省ける安さを売りに消費者に訴求していましたが、それでは、産地の価値アップには繋がりません。これではダメです。例えば、諸外国では日本の青果は国内流通の3倍以上の価値があります。ここをターゲットに販売する方法と流通を組み合わせ、産地バイヤー教育の場を作るなど新たな努力が必要になります。

    また例えば、地産地消教育を交流人口に対し行います。おいしい!、新鮮!というイメージだけでなく、生産者の努力、由来、商品名をしっかり伝え、自宅に戻ってからでもEC購入できるなどファン作りが必要ですし、そこから具体的な地域の口コミを広げることができます。これもDX時代のIT活用で可能になります。食と観光は繋がっているということをインバウンドに強く伝えることで、生産地の価値アップを展開します。この場合、IT活用と流通はセットですから新法の改正は大きな力になります。産地の価値が上がることを北海道は意識しなければなりません。

さて、1)+2)は、まさに「地域振興策」です。ではなぜ、これがMUSTなのか? それは、2025年問題=団塊世代の後期高齢人口到達年(75歳)がくるからであり、この人口問題は、景気の良し悪しに関わらず、国の社会保障費を激増させる待ったなしの要因です。と同時に、我ら国民の可処分所得は減ります。でなければ、後期高齢者負担を増やす策。あるいはそれら全部。これは、もうすぐ4年後には突入します。だから、1)+2)の策をセットで行わなければなりません。

インバウンドに関しては、2020年の東京五輪が、全世界からの注目を浴びる絶好のチャンスでしたが、残念ながら1年延期中です。このような背景があるので、日本としては、是が非でも、来年7月五輪開催の方向です。とすれば、いつから国際線が観光客を乗せて飛ぶようになるか、という予測が立ちます。新年度の4月なのか、それ以前なのか?「徐々に」の条件はつきますが、秒読み開始です。それを促すように、11月成田空港から、観光ではありませんが、まずは動き出しています。

消費者のITサービス活用傾向は、コロナが収束しても、おさまることはありません。つまり、事業者は、消費者との接点を変えねばならないことを念頭に準備しなければなりません。観光の接点は、旅行代理店では薄くなり、OTA単体サービスでも薄くなります。今、「地域でまとめて予約ができ決済できるサービス」が欧米では着々と進んでいます。なんと、Googleサービスではありません。

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2020.11.10
シーダースコミュニケーションズ株式会社

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