新たな目線

コロナ禍にあり苦戦が続く観光業界ですが、種々の兆しも見えてきました。

今年も、師走になりました。今年は、インバウンドビジネス関係者にとっては「最悪の収益」の年になりました。そして今、コロナの第3波に札幌が、北海道各地が苦しんでいます。コロナ感染症により、「人が集うサービス」が苦しみ、一方で「在宅へ届けるサービス」が浮上しています。
職場でも、デスクワーク系を中心にリモートワークが進んでいます。でも、リモートワークがしづらい環境の人は、家で、ではなくカフェ等で頑張っているよ!という話も聞きます。隅々まで、混沌とした年です。

この先、世界観光と言われるように、外国人観光客は、観光現場からの生の声が拾えれば、今まで以上に来日するでしょう。この観光客へのスタイルこそ「在宅へ届けるサービス」に違いありません。あなたのサービスを集客ではなく、在宅に届けるのです。
今は越境がストップしているので、声が届いても動くことはできませんが、しかし、予約・販売は可能です。人は動かないがお金は動かせます。これは、人気のバッグ1年待ちを予約し購入するのと変わりません。

今、まさに、「人は来られないが、情報は届けられる」なわけです。「人が集うことは叶わないが、在宅へは届けられる」です。観光がだめなのではなく、在宅へ届けられないことがだめなのです。
今回、本文3でこのことを書いています。視線を変えると、NGはGOになります。

それと、インバウンドという、漠然とした言葉を野放しにするのはやめましょう。この先を分析するのに面倒です。インバウンドは来ないけれど、インバウンドはくるよ、なわけです。
視察、下見、商談面談と交流、趣味の体験、スポーツ観戦、コンサート、食材・食器購入、ビジネス上の体験など、実は日本には、観光短期VISAの優遇制度を使って、多くの人が来ています。
観光短期VISAを使っているから、制度上は観光入国です。これを一般インバウンドと呼びましょう。それ以外は、観光インバウンドとします。スポーツ観戦者やコンサート来場者などは一般インバウンドです。
彼らは、来日目標達成の後には「観光」をします。このパターンは、あたかも、ワーケーションに近いものがあります。そして、コロナ収束を待つ彼らが、観光インバウンドよりも先に日本にやってきます。
実は政府も、北海道も、その準備に既に入っています。東京オリパラは一般インバウンド客を条件/制限付きで入国させる流れが見えます。視線を変えると、NGはGOになります。

また、DXと言われる社会の大変革に観光もいます。観光DXと分けてみます。「観光のデジタル革命」に沿うということは、インターネットの本質である、お客様とサービス現場がつながることです。
つながるとはホームページを見てもらうとか、SNSを見てもらうことではありません。何かしらの接点を多く出し、そこから、海外検索に上位で表示され、そこに誘導し、お客様に「質問、予約、注文、決済、キャンセル、予約状況」の現実部分を与えることになります。

もう少し、具体的に考えます。ホテル予約。実はその多くは、アナログの旅行代理店予約から、デジタルのOTAに変わりました。客が変わったのではなく、客側の予約手段が変わりました。それは、端末機からのインターネット活用であり、これがIT化です。
また、ホテルが変わったのでしょうか? 違います。客側との接点が弱いために、ホテルは代行サービスのOTAのサービスを利用しているに過ぎません。これだと、ホテルがデジタル化しているのかどうかは客側には伝わりません。
今、OTA離れが海外で起こっています。理由は、不便だからです。何がでしょう? 個人客が2度3度とリピートすることで、旅の深掘りが始まっています。飛行機、宿、交通、趣味、体験、グルメ、買い物などは「地域」で行います。地域観光です。これがOTAにはできません。
ホテルの数を集め過ぎたことで、一気に、世界観光情報をまとめることができません。できないけれど、観光客のニーズはどんどん進化しています。

私は、ここにチャンスがあると思っています。悠悠北海道の狙いはここにあります。
「予約と決済とキャンセル」は、数で表すことができるものに起こります。座席がそうです。バス席、料理店の席数、コンサート席数です。ホテルの部屋がそうです。商品の在庫がそうです。提供できる料理の量がそうです。1名のガイドが1度に5名案内できるならば在庫は5です。つまり、人的サービスもそうです。
しかし、アナログで管理している場合、これらは公開されることはなく、電話でその都度確認しなければいけません。これが、デジタルになり公開され、しかもタイムリーに更新されていれば、世界中から接続することが可能になります。
観光DXは、席数を地域ごとに、ジャンルごとにまとめることで、デジタル在庫になり、それは観光力になります。海外との接点からデジタル在庫が見られる流れです。
地域のデジタル在庫については、本文1で説明します。視線を変えると、NGはGOになります。

今回のテーマ「新たな目線」は、NGをGOにするための秘策です(って、当然のことを集めました)。ただし、マネでは意味がありません。
観光は、気候と自然と文化と食の4要素だと言っている外国人がいますが、むしろ、日本の観光は、ここが大好きな人との触れ合いです。好きだから移住しますし、好きだから苦しくても離れません。
この地で、好きだから頑張りながらも楽しんでいる「これ」「それ」「あれ」に、世界中がアクセスしたがっています。そのために、飛行機に乗り、バスに乗り、ホテルに泊まり、来ます。その「これ」「それ」「あれ」と接していることを観光DX流に接点を出し、公開することと、その動向を分析することです。

そうすれば、観光だけでなく、農業、漁業、林業、製造業、交通が観光サービスに変わりますし、そこで体験したもの、食は、北海道外・海外に流通するのです。コロナ感染症は社会の大ピンチだけれど、目線を変えると、サービスの本質が手の中にあることがわかります。
目線を変える機会がコロナ禍なのかもしれません。

海外へのダイレクトなPRの第一歩は、アジアの個人に届く公式サイトを持つことです
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2020.12.08
シーダースコミュニケーションズ株式会社

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