深くて大きな溝がある

– 海外からの個人旅行客誘致 –

6月下旬に放送されたNHKの番組「観光革命」は良かった。

現在、日本が世界の中で年間のインバウンド訪問数が33位であること、それをどうすれば伸ばすことができるのか?という点では、イマイチまとまりのなさ を感じた。が、各地で行われているインバウンド対策(未だにトップセールスとかに期待している地方自治体)の現状から見れば、NHKよくぞ言ってくれたと 称賛した。日本への旅は様変わりがはじまっている。

日本の文化に触れたがっている  東京、大阪のインバウンドの主流は、いまやフリープランでやってくる個人観光客だ。飛行機とホテルのシンプルなプランをネットで購入し、行動はフリー。必要に応じて、現地のオプショナルツアーなどを組み合わせる。時間が自由だからエリア散策を楽しむ。
東京で言えば浅草、合羽橋道具街、谷中、千駄木、上野を歩いたり、渋谷、原宿、新宿を歩いたりと、人気が分かれているようだ。彼らは英語を話し、日本人 の片言英語を楽しむ。声をかけあいたいのだ。いろんな話を聞きたい。路地裏の写真を撮りたいのだ。とにかく日本の生活に触れたいのだ。ベースキャンプ地を 数箇所決め、周辺散策をする。果たして、路地裏の人達は集客の為のPRをしているのだろうか?いや違う、探されているのだ。

番組内でも言われていたが、普段の日本に興味があり、日本式を優秀と考えている日本大好きな個人旅行客が増えている。しばらく続いていた円高で高値の華だった日本が、2割ほど円安になり、あたかも解禁になったかのように、この春からフリープランの個人旅行が伸びている。
これにLCCが拍車をかけている。片言会話が実現すると、そのエリアへの滞在時間が長くなるから、食事、買物、体験などにより地域にお金が落ちる。宿泊数も伸びる。飛行機とホテル代が主流だった旅が変わりつつある。団体旅行との違いだ。

旅づくりのポイントは、旅行代理店を最小活用し多くは自分で決めること。特に、LCCの安売りが出ると「動く」。今の観光客はそうなのだ。この数がじわじわ、じわじわ増えている。
これは、地方でも見習うべき姿だ。北海道は、首都圏、関西につぐ人気のエリアだ。 なのに、実は、ここには「深くて大きな溝」がある。それが個人旅行客の受け入れを遅らせている。

次の3点は、堂々とまかり通っている地方のインバウンド獲得対策の王道だ。

  • →1,効率的な配布ルートを考えずに補助金を使って作成している多言語印刷物の制作
    (地図やパンフレット)
  • →2,近隣市町村長や団体TOPが合同でトップセールスをする。入り込み数が評価対象
    (訪問先:現地旅行代理店、飛行機会社、イベント参加)
  • →3,殆ど見られていない、更新できない多言語ホームページ制作

東京、大阪で起こっている、フリープランによる個人観光客ブームとは真逆。お粗末だ。本当にお粗末だ。

  • この地域の売りは、PRすることはなんですか?
  • 何に触れて、何を感じ取ってもらいたいですか?
  • お金は落ちますか?

よしんば、売りがあったとしても、それだけのためにわざわざ来てくれますか?
来てくれるためには、何を整備しなければならないですか?

矢継ぎ早に、しかし、当たり前の質問をする。が、一度もまともな返答がない。ないのにトップセールスだという、地方。予算がないと逃げる。アイディアの無さを隠すように「勉強中」と逃げる。

本当に今のままで良いのか。今こそ脱却の、そして変化の時ではないのか。(7/16へ続く…)

2013.7.9
シーダースコミュニケーションズ株式会社
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