インバウンド観光はどうなっていくのだろうか?

日本の観光は、そもそも敗戦後の日本がアメリカの工場としてコツコツ働き、技術を磨き、その技術による利益から社会環境とインフラを整備し、戦後復興とともに国策として健康増進と余暇を進める政策として成長しました。それは、温泉地を軸に「大型、大量」という方向でした。大量に移動できる鉄道の活用、大型温泉旅館、旅館内の大宴会場、大浴場がこれに当たります。

北海道は、登別温泉、洞爺湖温泉、定山渓温泉、湯の川温泉、層雲峡温泉、阿寒湖温泉など北海道ブームに沸きました。アイヌの木彫りの熊が人気になり、社員旅行、修学旅行など、旅行代理店とともに「観光」が固まっていきました。clm7-1

さて、2015年。
日本には約2000万人の訪日客、北海道はその1割の約200万人のインバウンドの来道がありました。観光立国宣言と主に幸いにも日本を訪れてくれています。2020年に向け4000万人(北海道500万人)の目標を掲げ、VISA緩和、空路の各種調整、宿泊対策などの法整備・改正が進んでいます。

また、インターネットは日本の観光スタイルを変えています。まず予約。飛行機も鉄道もバスもホテルも旅行代理店は使わず、各人で予約するOTAサイトが人気です。VISA緩和に伴い海外からの予約も急増し、言葉が苦手な観光現場が四苦八苦しています。中国人を中心とした爆買いなどの爆**現象に、都市部の流通が振り回され、過剰な設備投資をした一部デパートなどは厳しい環境に置かれています。多くの国からの観光客受け入れは、生活風習の違い、宗教の違いなど不勉強のまま進行しています。

これから、「観光」は北海道においてはどのように変わっていくのでしょうか。簡単ですが、その要素を並べてみます(順不同)。

  1. 外国人観光客が増える(500万−200万=300万人増える)
    飛行機1機(180人定員の85%稼働として150人)
    300万➗150人=年間片道2万機
    1日平均55機の到着と55機の出発が必要になる。現状の千歳空港集中型では不可能。
  2. 個人客の比率が激増する
  3. 外国人宿泊延数が増える
    500万−200万=300万ベッド*4宿泊=1200万ベッド増える
    1200万ベッド➗2=600万室
    600万室➗365=16500室/日増える(インバウンド用27500室 500万*4日➗2人➗365日)
  4. アジアからの観光客が多い。
    中国、台湾、韓国、香港、タイ、豪州に加え、インドが増える。
    シンガポール、マレーシア、インドネシア、ベトナム、フィリピン、アメリカ
  5. LCCが増える
  6. 国内移動の1区間運賃が1万円になる(インバウンド特典:地方分散)
  7. 有名観光スポットだけではなく、体験観光、経験観光、路地裏観光など個人旅行が増えることで自由な散策観光が増える。
  8. 普段の生活が経験できる旅館、民宿が人気になる。
  9. 地域での交流を求める旅行者が増える。
  10. 地方で働く外国人が増える。
    輸出入、観光ガイド、旅館・飲食・物販員、ものづくり、通訳・翻訳など
  11. その他

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<わざわざ来た北海道だから、せっかくだから**しよう>

このように、これまでの観光の概念がガラリと変わり、北海道においては5、6番の影響を大きく受けます。特に8つの空港があることが強みとなります。
「遠い、高い、時間がかかる」といった北海道ハンデが6により、時間距離が短く、安くなることで、人気要素に変わります。わざわざ来た北海道の思いが、せっかく来たのだから**しようという思いに変わります。

この「**しよう」は、財布の紐が緩むチャンスです。とすると、わざわざの拠点=空港のある街に行く「目的」は何か?を明確にしなければなりません。
これまでは海だ、山だ、自然現象だ、温泉だ、夕日だ、海産物だ、ヒグマだ、丹頂だでよかったものが、旅行者の目線で表現しなければ伝わらない、つまり、これまでの発信者目線の観光情報から、旅行者目線の観光情報に変えなければならなくなっていることに気づいているでしょうか?

よくある勉強会でのワンシーンは、「旅行者のニーズは**という傾向が強いのでこういう商品を作らねばなりません」というのが出ますが、この目線ではありません。
地元だから気づかない、専門業者だから気づかない、旅行者目線のある人を探さねばなりません。

時に、不便や未整備こそがビジネスチャンスと捉えるには、要素を掘り下げ分析することも有効です。結局のところ、向上心の高い外国からのよそ者、若者との交流が決め手となっていきます。お膳立ての招聘はほとんど意味をなしません。

この先の「観光」は、過去の観光の姿を追うだけではなく、海外の姿を学びつつ、わが町流を作り上げる実力のあるリーダーが不可欠で、資金や学力よりも、海外人とのコミュニケーション力とわが町流を楽しく実現できる指導力が求められます。

個人客の多くは、日本の優れた平均力、行き渡った社会インフラに感銘しています。特に、北海道に対しては

  1. 野生動物、貴重な鳥類、高山植物などの自然環境があり、すぐ近くで生活をしている共生に関心を示す。
  2. 四季が描く自然の美しさに感動する。
  3. 天然水、空気の豊かさに感動する。
  4. 半島、島、山中にあっても生活インフラが行き届いていることに感動する。
  5. 海の幸、山の幸の豊富さ、新鮮さと味の旨さに感動する。

と言えます。

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観光は、地域交流(人との)に展開し、そして新たな物流が生まれます。
旅行代理店に依存し集客できていた一部の利益構造から、やる気の高い人たちに幅広く影響する構造に変わります。

地方は、高齢化が進み、労働力が落ち、生産性が落ちていく一方ですが、地方にある観光素材を魅力的に捉え、いち早く接し自分の国にPRするビジネスチャンスを求める若者はアジアに多く存在しています。

その第一歩は、アジアの個人に届くパワーページを持つことです(*パワーページについてはお問い合わせください)。

2016.9.11
シーダースコミュニケーションズ株式会社

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